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 息苦しくて喉が塞がる感覚。……やだな、よく見る夢に似てる。
 どこか不機嫌に目を開けて起き上がってみてふと気づく。……ここどこだろ?
 確か俺は…修行場にいた筈なのにな。ここってどう見ても洞窟。ちょっと手が加えられているから多分誰かの家なんだな。
 周りを見回して視線が固まってしまった。
 ………デカイ虎猫が隣で寝ている………。というか重いのはこれが原因か!!
 すよすよと鼻ちょうちん付きで幸せに寝ている猫を怒鳴るのも忍びなくて溜め息をひとつ。うう………動物好きなんだよな…俺…………
 触ってみればあったかい感触。………なんか気持ちよくてつい何度も繰り返していたら気づいたらしい猫の目があいた。…………どっちみち細くてよく見えないな…………
 ぱかっと開いた口から覗く牙は鋭くて猫にしちゃ随分仰々しい。不思議そうに見ていたら大きなベロが俺の顔を舐めてくる。………人懐っこい猫だな♪
 じゃれつくみたいに遊んでいたら暴れていたのに気づいたのか誰かが声をかけてきた。………まず…俺知らない人の家で寝ちゃっていたのに迷惑かけちゃった!?
 しゅんとして顔を覗かせた男の人を見上げたら………凍り付いちゃった。
 あれ? どうしたんだろう……別に何も壊してないし……怒られることはまあ暴れちゃったことくらいだと思うんだけどな???
 マジマジと凍ったままの男の人を見てみる。………綺麗な顔してるなー。
 羽の色が鮮やかで、なんとなくいっつも俺の後ろついて歩いてるチビのこと思い出しちゃう。あはは、この人に失礼かな?
 抱き締めていた猫から手を離し、俺は立ち上がって深々と頭を下げる。……やっぱちゃんと礼はいうべきだもんな。
 「えっと、あの……なんでかよくわかりませんが泊めていただいたようで……。お騒がせしてスミマセンでした」
 そうして顔をあげた時にはビシッッ!!!!!とまっすぐ俺のこと指差してワナワナ震えているし。………あの…ガキの俺がいうのもなんですけど…人指しちゃいけないんだぞ?
 そんなことを呆れた感じに考えていたらこまくまで破るみたいな大音響!!!!!
 ちょっと待ったー!!! この人の肺活量…つうか声量おかしいって!!!!!
 「なんで子供になってんだお前ーーーーー!!!!!」
 「落ち着いて下さい!!!!!」
 お互いがお互いの声に負けないように叫んだせいで………俺の足元にいた猫は見事に泡吹いて痙攣していましたとさ………………


 で。なんとか朝の騒ぎがおさまったと思ったらあの大声は見事に反響していたようで。
 なんか人がいっぱいです。………怖いな……
 じろじろと見てくる大きな男の人たち。別に修行場でもこれくらいの人たちは珍しくないからいいけどさ。
 その中の見知った顔に近付いて俺はこっそり耳打ちしてみる。……まあチビの俺が内緒話しようとしたらあからさまにしゃがまないといけないんだけどな…………
 心得たように座ってくれた独眼の目を覗き込んで俺は絶対他の人には聞こえない小さな声で問いかける。
 「ねえリュウ……この人たち誰なんだ? なんか俺のこと知ってるみたいなんだけど………」
 父さんの知り合いかな? そう聞いてみるとニッと笑われる。………あ、ヤな予感。この人強くて憧れるけど……性格がすごく道楽的なんだよな。
 なんというか……楽しいこと大好き!みたいな感じ?
 思わず顔を引き攣らせて遠のいてみるとガシッと肩を掴まれた。ウワーン、この人に押さえられて動けるわけないだろ!!!
 ちょっと泣きそうな気持ちになりながらもくるっと回転させられて俺を眺めるみんなの方に顔を向けさせられる。うう……視線が痛い……………
 「さて問題ですv シンタロー、お前の知り合いが大人になったらどんな風か、こいつらに当てはめていってごらん?」
 声が笑ってます。…………絶対になにか罠がある………。悪いが俺はこの手の勘は外れないんだ。なにせ修行中四六時中一緒にいる幼馴染みが罠張るの大好きな奴だからな! …………威張れない上に虚しい…………
 ふと遠くを見遣りそうだった俺の頬を軽く叩く大きな指。でかいよな……リュウの掌。俺の倍くらいあるし。俺も大きくなったらこうなるかな。
 なんてマジマジと見ていたらドアップにリュウの顔。……ああ、抱き上げられたのか………。かなり恥ずかしいから暴れようかとも思うけどそれやるとガキくさいしな…………
 一瞬の逡巡を見破っているのかリュウの含み笑い。……チェ、やっぱ長く生きているだけあるよな龍人は………
 小さく文句をいいながらも俺はちらりと目の前にお披露目されている大人たちを見る。……んー、ああ、なんか本当にそっくり。
 まっすぐ青い羽を指差して俺がきっぱり言い切ってみる。
 「バード!」
 「ほう………バードってどんな奴か教えてくれるかね?」
 「リュウ!?」
 キラリと光るリュウの目に怪んだのか青い羽の人が叫ぶ。………どうしたんだろ………バードの知り合いかな??
 でもバード自分と同じ色の羽の人なんていってなかったし……まあいいか。
 俺はちょっと考えてニッと笑う。……バードのことなら山ほど話はあるんだもんな♪
 「バードは…すっげー顔綺麗なんだ。で、頭もいいし運動もできる。………でもあいつ女の子の傍にはいかないんだよ」
 「シンタロー!!!! それいじょ………ふがっ!?」
 あー……なんか青い鳥がピンクの髪に吊るし上げられてる……………
 大丈夫なのかな……結構苦しそう……っていうか白目むいているけど…………
 顔を引き攣らせかけた俺の視界にそれが入らないようにリュウがさり気なく身体を動かす。……つまり無視しろってか。
 まあいいや。仲間同士みたいだし、大丈夫だろう。
 「あいつさ、男と女間違えるの得意なんだよ。俺のことも間違えたし……アラッチのことも間違えたけど……なにより一番ヤバかったのがアーちゃんのこと男だと思ったことだな」
 「アーちゃんって誰だよ」
 まだ鳥をぶら下げたままのピンクの髪の綺麗な……男……だよな……うん、その人が聞いてきた。
 俺はそれはもう笑顔で答えようとしたぞ。……でも出来なかった。
 なんか……思いっきり睨み付けてくる女の人がいる……………………
 パクパクと口をさせたまま黙った俺の視線の先を見遣った全員が合点がいったようにふかーく溜め息を吐いた。
 ………………こういう人…なのか、もしかして。
 「なるほど、アマゾネスか……」
 「アーちゃんってタイプっすか?」
 「俺サっちゃんなんていわれたら速効性の毒刺すけどね!」
 なんか怖い会話が聞こえる………けどその会話から離れたくとも加わっているリュウに抱えられている身には無駄な抵抗だった…………
 ついでになんか……電波が飛んでくる。ひしひしと俺には伝わるけどなんでこの人たち大丈夫なんだよ~!!
 なんだか知らないけど無条件にごめんなさいって謝りたくなる……………
 アーちゃんのことを聞いてこようとする3人の魔手が伸びかけて俺は本気で女の人の視線に泣きそうになった。
 と思ったら急にまたふわって…………
 だれだろ………? すっごく無理矢理引っ張られたから腹が痛いんですが…………
 「本当にちびになってやがんな、シンタロー?」
 なんか意地悪っぽい声に…すっごく綺麗な金髪。
 なんかこれは誰って聞かなくても自然出てしまう名前が…………
 これで目の色まで紫だったら完璧………ってええええええ!? 思いっきり紫じゃんか!!
 「なんでアラシが大きくなってンだよ!?」
 「なんだ、わかんのかよ」
 「いっておくがお前の被害に一番あっているのは俺なんだよ!! その目つきもしゃべり方もまったくそのまんまじゃねぇか!!」
 「正解~♪ さて問題です。俺が大きくなりました。他は誰でしょうか?」
 「え…………?」
 ぎくりとなった俺がちらりと後ろを見る。楽しそうなリュウの顔と……顔を逸らしているアーちゃんそっくりな女の人とバードそっくりな人…………
 マジ……かよ………………
 顔を引き攣らせて思わず俺は叫んでしまう。
 「嘘だー!!! アーちゃん、だってそんな怖い顔したことないぞ!? いっつもお菓子届けに来てくれる可愛い子だし………!」
 「シンタロー!!!!」
 叫んだ瞬間に女の人が思いっきり叫んですごい音が響いた。響いたけど……被害にあったのは何故か青い鳥だった……………
 ………………なんで?
 「俺にあたるんじゃねぇよ!」
 「子供を殴れるわけないでしょ!!!」
 「結構ひどいこといまいってましたよね…シンタローさん………」
 「恋は盲目ってヤツでしょ。可愛いのとこしか聞いてないよ」
 こしょこしょと二人のやりとりを見ながら二人の男の子が話している。よく聞き取れないけどろくな会話じゃないだろーことは思いっきり睨んだ女の人の視線でわかった。
 そしてそのままぐったりとアラシにもたれ掛かったまんま小さく唸ってみる。
 「それにバードだって……お前にプロポーズしていたじゃねぇか………」
 それがこんな美青年に成長するもんなのか? 思いっきり不審げに睨んでみれば思い出したというように惚けた顔が見える。あ、これはアラシの顔だ。滅多に見せないけど。
 「プロポーズ~!? 鳥やっぱホ…………」
 「これのガキの頃は女そっくりだったんだよ!!!!!」
 ピンクの髪の叫びを遮るようにバードが泣きながら叫んだ。………あ、やっぱバードなんだ…………ちゃんと覚えてる。
 「俺が女だったらシンちゃんを嫁にするぜ♪」
 苛め尽くすと目が言っているのがいや。…………の前にやっぱ一言いいたいな。
 「アラシ」
 にっこり笑顔は結構怒っている証拠。
 ちゃんと知っているアラシの視線が一瞬凍る。んー……大人の姿でもやっぱ反応一緒だな。
 「俺は男だからな? また初対面の時みたいに殴られたくなきゃプロポーズなんてするなよ?」
 ヒクリと顔を引き攣らせるアラシの後ろ、笑い転げて鳥と同格にしている人たちと、ゆらりと陽炎作っている女の人が一名。
 なんだかよくわからない事態になったけど、結構みんな面白い。
 あー、父さんにも会いたいな。昔のコトいう口止め代わりにどっちかに連れていってもーらおう♪


 え? 意地悪かな?
 でもさ、俺こいつらに結構苦労してんだぜ? 大人に甘えたってだーれも怒らない。
 せっかくだからいっぱい遊んで修行場に帰ろうっと!







 キリリク42000HIT、パーパ子供化記憶も子供でギャグでした。
 ………なんか子供パーパが小悪魔化した気がするんですけど………(遠い目)

 とりあえず特にカップリング要素入れることなく進めてみました。
 パーパはまったく現状認識していません。アマゾネスの他の女の子への嫉妬話を暴露というシーンも考えていましたが入れるとアマゾネスの反応が怖かったのでやめました☆
 いや……パーパは無事でもバードが八つ当たりで死ぬかなーとか…………………
 そしてアラシはやっぱりどんな状況でもこのまんまでした。
 でもやっぱりパーパには叶わない情けなさがうちの子です(笑)

 ちなみに。……このアラシは初対面時にパーパに告っていますが、一応それ以前から目はつけていたようです。女の子と思ってね!
 ………やっぱバードと同格か…………(オイ)

 この小説はキリリクをくださった陽冥さんに捧げます。
 ギャグ懐かし過ぎて書き方忘れました(死) スミマセン……………