お空は真っ青、イイ天気。
ワクワクするくらい爽やかな風が吹き抜けて、絶好の行楽日和!なはずなのに………
なんでこの城だけはこんなにどんよりしてるのか…かなり気になる。
ちょこっと覗いてみますか。あ、みんなも一緒にどうぞv
んーと、でっかい人が二人いるなー。って大き過ぎでしょ、この人たち………。なんで手の平だけで成人男子より大きいわけ??
………まあ深く考えるのはよそう。その足下に……よく見えないけど男の人が二人いるなー。長い黒髪の人の良さそうな人と、淡い水色の髪の人。あ、ぴょこって小さな子が出てきた。……羽根が生えてるってことは自由人の子かな?
なんか大人二人は溜息ついてるけど……どうしたのかな?
面白そうだから聞きに行こう!
なになに…………
「…………貴様、仮にも人王の息子ならあの二人をどうにかしろ」
暗い顔で頭を押さえ、若い方の男が言って、それに黒髪の人は顔を引きつらせている。
………なんのことだろ。
「いっとくけどな、クラーケン。俺はこれでも勘当された身なの!お前こそどうにかしろよ。龍王の息子だろ」
「………認めん」
そういってクラーケンは遠くを見ているんだけど……何事?
悩んでると小さな男の子がぱたぱた飛びながら黒髪の人の腕に収まった。あ、なんかこの二人雰囲気似てるなー。親子なんだろうな♪
かわいい声で子供は父親を見上げながら声を掛ける。いいなー、こういう雰囲気v
「パーパ、ジージたちなに話してるの?」
「………気にしなくていいからねー、ヒーローは。あんのバカ親父共のことなんざ!」
前半優しい父親の顔してたけど……後半かなり苛立たしそうだったんですけど。
一瞬目を疑っていたけど……ヒーローがまた話し掛けるとパーパはニコニコで話してるし。なんだろ?
微笑ましいツーショットを天気と同じくらいホンワカ見ていたけど……やっと気づけた。この大人達の溜息の原因に。
大き過ぎて気にしてなかったけど、このぶっとい足の上の方には顔があって、その顔から永遠と音が出ている。……当然ながらそれは言葉なんだけど………
聞き取っていて思わず白くなってしまったんですケド?
「クーちゃんは母親に似て美人だし!私が寂しがるといけないっていつも家に来てくれるんだぞ!」
「なにを言われますか、竜王!シンちゃんだってとっても親思いで、昔から父の日には必ず自分で手折った花をくれるんですよ!?」
……………それがどうしたおっさんたち。
思わず顔を引きつらせているクラーケンとパーパに同調してしまったよ…………
ヒーロー一人がそんな二人を見て不思議そうに瞬きしてるし。………子供はいいね、こういう馬鹿な大人を気にしないで済むもんね……………
ふかーい溜息を二人が同時に吐き出して、改めて顔をあげると…………あ、目が座ってる。
ちょっと避難した方がいいかも。
………って考えてたらなんか氷の固まりがクラーケンの手の平から出たんですけど!?
「アイスボンバー!!」
なんだそのネーミングは!?
はっ!違う。突っ込むのはそこじゃないや。なんであんた手から氷出るの!?
思わずどうでもいい事に突っ込み入れてしまうくらい混乱してしまったさ!
―――――――――ドガンッッッ!!
もんの凄い音と共にその氷……全部兜かぶったおじさんに命中したんですけど………
うわー…………。これは…さすがにヤバいのでは?
いくら大きな人といっても……痛覚はあるし…ねぇ?
顔を引きつらせながら見ていると、くるりとその人が振りかえった。
………………………………………………なんで無傷なんですか?
どう考えてもあの攻撃受けて無傷はないでしょ!ちょっとおじさんなんかいえって!
なに………この城には奇人変人のみ生息可なのか!?
頭痛のしてきた頭の中に、さっきの親子は無事かなーなんて余裕がやっと出てきて、あたりを見回してみると………
お、偉いぞお父さん! ちゃんと子供庇ってるね。でも頭に城壁刺さってるから手当てしてね…………
視界から二人は追いやってとりあえず元通りにクラーケンと竜王を見てみると。
「ダメじゃないかクーちゃんv パパはいま人王と大切な話をしているんだから、後にしなさい」
…………………………ダメなのは貴様だ。
ちょっと人王頷いてないで突っ込めよ!ここは聞き流しちゃダメでしょ!?
て、きいちゃいねーよ、この人も。
ああ、マトモな二人が切れてきてる………
クラーケン……目が怖いってば!
―――――――――ドンドンドガドガンッッッッ!!!!!
うお、アイスボンバーで連射ってありか!?
すごーいv 全弾竜王に命中v とばっちり喰らって人王にもちびっと当たっているけど……まあそれは無視v
もうもうとたった煙りの先にはしっかり立っている姿見えてるし……また無傷? これはすでに人としての範疇超えてるでしょう。
あ、でもさすがに血は流してるや。まあ………当然?
ちょっとほっとして周りを見回すと……うわー、お城崩壊してるやv
外にいる衛兵の龍たちが溜息吐いてる。……驚かないってことは……きっとこれ日常茶飯事なんだろーなー…………
可哀想な人たちだ…………
見晴しのよくなったお城からはさんさんと照るお日さまも勿論見えるけど………。
そんなもの見る人…一人もいないのが可哀想だよ。
……って、あれ??
ヒーローとパーパが見えない。………まさか城の下敷き!?
ちょっと、あんたたち気付けよ、いなくなってる事!
親バカな人王に希望を託して見上げると……なんか悦入ってるよ。打ちどころ悪かったのかな………?
「竜王の御子息はお転婆ですねぇ。私の所のシンタローはそりゃあ小さい頃からよく出来ていて、親を困らせる事なんかしませんでしたよ」
全く気にしちゃいないよ……。っていうか気付いてないよ。
人王、息子自慢の前に息子捜せ!!
そう思っている時、ちょうどクラーケンが近場の壁を一枚持ち上げた。………いたよ、ヒーローだけは死守してる………。
偉いというか……馬鹿というか………。なんかこの親にしてこの子ありを見た気が………
「トロイな。生き返ってから鈍ったか?」
おお………凄いいい方。あなたが原因って知ってますか?
さすがに腹立ったのか、パーパがクラーケンを睨む。………どうでもいいけど、後ろで延々なにか言い合ってる親は無視してていいの?
………いいか。別に。
「お前……もう少し加減ってモノを覚えられねぇわけ?あと少しで忍としか話せなくなろところだったぜ」
「その名を出すな。殺す!」
嫌味なのか、忍の名前は。それとも新たな呪いの言葉か?
なんかクラーケンの背中がどんより見えるのって……その呪いのせい?
…………………………御愁傷様。
合唱していたら、のんきに明るい声が響いた。
「パーパ、パーパ!出血大サービスv」
なにが楽しいのか、額を擦りむいたらしいヒーローはニッコニコで自分の怪我をおもちゃにしてる。
……………大物になるよ、きっと。よかったね、パーパ………………
思わず現実逃避してしまったv
大慌てで手当てしてるよ、パーパ。おお、クラーケンもさすがに呆れている。
まあ泣きながら謝って手当てしてれば呆れもするわな。
そんなパーパの身体がニュッと伸びてきた腕に掴まれる。ちょっと……力加減してあげなよ、いまバキッて音聞こえたぞ??
無事かなー……あ、ダメだ。白目のまんまだわ。
そんな事気にもしないで人王がパーパに頬擦りしてるし。………ある意味悪魔?
「シンちゃん!竜王にシンちゃんがどれほど父親思いか判らせてやってくれ!ほら、昔みたいにスリスリやダキダキで!!」
……………………………血迷ったかおっさん。
号泣していうのはまあこの際どうでもいいよ、うん。
でもあんた……もうすぐ30いきそうな実の息子になにいってるのかな?
あ、なんか竜王様ってば羨ましそうに二人見てる。………羨ましいか?パーパ気絶してるのに………
ちらり……って、下にいるのはクラーケン。……狙ってるな竜王!!
逃げろって……ああ遅かった…………
しっかり捕まってるよ、クラーケン。腕の鎌も意味ないねぇ………。逃げられる??
「クーちゃん!父さんも昔できなかった分のスリスリやダキダキしたいぞ!」
この世界……平和になって本当によかったねぇ……。こんなおっさんたちが王様やってたら…いつ崩壊しても不思議でないよ……………
ああほら…………息子二人が顔引きつらせてる。
「いい加減にしろ!!!このバカ親父!」
パチパチパチパチ。見事なハモりでしたv
そして同時に響く大響音。よく見えなかったけど……パーパ羽根出てたからそれが原因?
クラーケンー…………なんで上の服脱いでるの? またアイスボンバー?アイスエッジとかアイスウエーブとか……他の技出せばいいのに。
なんとか親の魔の手から逃げ出した二人は崩壊したお城を見下ろしてふかーい溜息。
おや、いつの間にヒーローってばパーパの背に………。侮れない子だな。
「しばらくは大人しくなる……かね?」
「でなければ来ない」
………冷たい一言。でもなんか照れてるぞ? それに気付いたパーパが笑う。
ふーん、なるほど。これが彼なりのコミュニケーションなわけか。傍迷惑だけど……まあなんか微笑ましくなるや。
「パーパ、ヒーローお腹空いたぞ」
おや、よく見てみればもうお日さまもてっぺん過ぎてるし。お昼の時間だね。
「ああ、じゃあ家帰るか。ミイちゃんもタイガー達も待ってるしな。クラーケン、お前も来るか?」
「………………」
パーパの誘いにすっごい奇妙な顔してる。………で、頷くわけか。
ぜーんぜん人付き合いに慣れていないクラーケンを面倒見のいいパーパに預けるために呼び出しかかってるのかしら?
まあ、なにはともあれ今日は絶好の行楽日和。
お家に帰ってお昼は外でピクニックかな?
楽しんできてね、子供思いな親ばかさん達の面倒見るのも大変だろうけどさv
小さく声援を送って、3人の背を見送るのでした。
キリリク9876HIT、英雄親子の親ばか編ですv
リク内容細かいと書き易くて有り難かったです!
なんか竜王人王の性格が相変わらず破壊されています…………
ギャグだと大抵の人の人格が崩壊して困りますね(遠い目)
一気に書けましたよ、この話。ギャグの苦手な私が………。
今回はパーパ視点ではなく、第3者にしたかったので(クラーケンも中心になるから)風さんに取材してきて頂きましたv
なかなか素敵に見てきて下さって有り難かったです(遠い目)
この小説はキリリクを下さったれいこ様に捧げますv
頑張って忍の名も出してみました、……本当に名前だけ。