柴田亜美作品 逆転裁判 NARUTO 突発。 (1作品限り) オリジナル (シスターシリーズ) オリジナル enter | 担当している菓子というものはない。故に紹介というものもないはずなのだが。 ………ふむ、ではアフタヌーンティーセットについては私から説明させていただこう。 ご覧の通り三段のケーキスタンドに下から『サンドイッチ』『スコーン』『ケーキ』がそれぞれ提供される。 紅茶はポッドサービスとなる。メニューにある茶葉から好きなものを選びたまえ。ふむ、お勧め………、チーズケーキを選ばれるならば、渋みのあるダージリンをお勧めしよう。調度セカンドフラッシュの時期だ、当店の紅茶の中であればこちらが一番よろしいかと思う。 サンドイッチは僭越ながら私が作らせていただいている。いや、具材は他のスタッフが作ったものだ。それらをサンドし切るまでを担当している。ム?サンドイッチの種類? ふむ、それらはあっさりしたものがメインだ。肉や揚げ物を使用する事はない。卵や野菜が主であり、本日のようにハムチーズのようなものが精々だろう。元々フィンガーサイズの菓子やサンドイッチを食べるものでもあるし、この辺りの具材が妥当と思われるが? スコーンか。これは元々はテイクアウトようのものと同じ大きさのものが1つ提供されていたが、最近では小振りのものを2種用意するようになった。プレーンと、もう片方はその日によって変わる。 添えられているクロテッドクリームとジャムで召し上がっていただきたい。 御「……………何故このような結果に……」 成「えっと、でもほら、味はいいよ!うん、美味しいって」 御「しかし、これでは洪水だ」 成「(言い得て妙だな)うーん……多分、入れ過ぎたんだよ、カップに。大体7分目辺りが目処かな。次のとき入れる量も気をつけようね」 御「しかし私はきちんとこの本のレシピ通りのカップ数で入れたのだが………??」 成「はは、こういうレシピ本はね、少し大目に書かれているんだよ。じゃないと作ってみたら足りませんでした、じゃ困るからね」 御「ふむ、なるほど。なかなか奥が深いな」 御「な、成歩堂!!羊が羊の着ぐるみを着たようになってしまった!!!」 成「へ?……………………(納得)」 御「生クリームを多く使用するのでこうした方が羊のフワフワ感が出るかと思ったのだが………何故こうなったのだろうか…………??」 成「まあ食べる時は多少生クリームがあった方がいいだろうけどね。デコレーションにはちょっと向かないんだよ、このアニョー型は」 御「ム?」 成「元々粉砂糖で飾るだけのお菓子用だしさ。凄い華奢なんだよ、形が。だから生クリームを塗ると厚みが増えて、羊の顔だけ浮いちゃうみたいだね」 御「うム、それは私も感じたな。では、どうしたならいいだろうか」 成「そうだね、折角だからデコレーションはしたいよね、アイデアが勿体ないしさ。あ、そうだ、御剣、チョコ取ってくれるかな。板チョコでいいよ、市販の」 御「?これでいいだろうか」 成「うん。これをこうやって、端からスライサーで削るとね、コポーが出来るんだよ。ね?」 御「チョコの屑のようにも見えるが??」 成「はは、まあ似たようなものだけど、よく見てよ。ちょっと丸まって可愛らしいだろ?これを薄く塗った生クリームの上にくっつければ、生クリームを塗ったみたいに色がつくよ。もっとずっと濃く、ね」 御「それは名案だ。それでは早速……」 成「って御剣待った!勢いよくつけちゃうと生クリームに埋まっちゃ………!」 御(ベチャ!)「…………………………」(見事に手がチョコと生クリームに塗れたのを見ながら) 御「何故凹んだのだろうか………」(レシピの本を見ながら) 成「………御剣……それ、フォンダンショコラじゃ……ないか?」 御「む?」 成「……………えっと、今作ろうとしていたのはガトーショコラで、固いケーキ、だよね?」 御「うム」 成「フォンダンショコラは中心が生使用のチョコがとろけだすケーキ、だよね?」 御「…………うム」 成「ちょっと……この型は、大きい………かな。重さに耐えきれなくて潰れちゃったんだと思うよ?」 御「…………そうか、記述には大きなセルクルでもよしとあったのだが」(既にレシピの見間違えはスルー) 成「どうしてもオーブンの種類が違うと焼き時間や温度にも変化が出るからね。これはこれで食べられるけど、ちょっと焼きが足りない、かな」 御「しかし既に周囲が焦げる一歩手前だ」 成「そうだね。温度を下げて長めに焼けばよかったかな。ガスオーブンを使ったレシピじゃなかったのかも知れないし、今度少し時間調整してみようよ」 過程の大部分を成歩堂が行なってくれたのだが、仕上げ及び梱包までを私が担当したものだ。 女性スタッフ陣に寄与するためだと言うと、ひどく喜んで手伝ってくれた。いや、いつでも喜んではくれるのだが。 アーモンドのキャラメリゼやテンパリング(チョコの温度管理)などはまだ私には手に余るようだが、ひたすら混ぜ続けるだけの作業であれば中身を零す事もダマにする事もなくなってきた……ように思う。 いつも付き合って指導してくれる成歩堂に感謝しなくてはな。 『甘く芳しく優しいもの』参照 |
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